その9 公表公報や国際公開公報のサーチレポートを活用する

特許調査の出来栄えの合格点が70点であるとしたら、70点以上の調査を行っていれば事業活動に影響があるような問題は起こりにくく、問題が発生したとしても致命傷に至ることは少ないと思います。基本プロセスを、手を抜くことなく実施することで達成できる70点の特許調査を、80点に、さらに90点にレベルアップさせるためには、基本プロセスのまわりに枝葉として存在する些細な工夫を一つ一つ積み上げる必要があります。

この講座では、特許調査の精度を高めるための細かなテクニックを、一つずつ取り上げながら、実際の事例を交えて解説していきます。

9.公表公報のサーチレポートを活用する

無効化もしくは権利化阻止したい対象特許が公表公報であるとか、検索式を立案する際の予備検索にて関連公報としてピックアップした公報が公表公報であった場合には、公表公報に付与されている特許分類やキーワード表現を確認するだけではなく、サーチレポートを参照すると良いかと思います。また、公表公報の他には、国際公開公報にもサーチレポートが添付されています。

公表公報の巻末には国際調査報告書(サーチレポート)が付いており、サーチレポートで提示されている関連文献をさらに確認することができます。図21は、サーチレポートに記載された「関連すると認められる文献」の部分です。

図21 国際調査報告書の「関連すると認められる文献」

抽出された文献は、「X:単一の文献のみで新規性、進歩性がない」「Y:他の文献との組み合わせにより進歩性がない」「A:一般の技術水準を示すもの」等のカテゴリーとともに、文献番号と、参照すべき箇所が記載されています。さらに、関連する請求項の番号も記載されています。

特に、「Xカテゴリー」や「Yカテゴリー」の文献は、予備検索で把握された公表公報の内容と関連性が高い可能性があるので、これらの関連すると認められた文献からも、本検索の検索式の参考となる情報が得られる可能性があります。図21のケースでは、提示された文献は全て米国公報なので、これから実施する特許調査が国内調査であった場合には参考にならないかもしれませんが、パテントファミリーの中に対応する日本出願があれば、国内調査の参考になるはずです。

サーチレポートには、関連すると求められる文献とともに、その文献のパテントファミリー情報も添付されています。図22には今回のケースでのパテントファミリー情報を示しました。

図22 国際調査報告書のパテントファミリー情報

図22のケースでは、「Xカテゴリー」または「Yカテゴリー」として抽出された4件米国特許には、いずれのパテントファミリーにも、対応する日本公報が存在していますので、これらの日本公報を参酌することで、国内特許調査の参考になる情報が得られると思われます。

今回の特許検索講座の解説は以上です。次回は「その10 登録調査機関による検索報告書について」の説明をします。

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